高齢者のための運動
1. 高齢者の運動の効果と重要性
高齢者が運動を行うことは、ただの運動以上の意味があります。
加齢に伴う筋力の衰えは、さまざまな生活上の困難をもたらし、高齢者の自立を妨げてしまうのです。
また、体力の低下が健康問題を引き起こす原因ともなりますので、
日常生活において適度な運動を取り入れることは、非常に大切なのです。
1.1. 筋力維持で自立した生活を
高齢者にとって筋力を保つことは、日常のさまざまな動作をスムーズに行うために必要です。
例えば、立ち上がる、歩く、物を持ち上げるといった動作は、生活の基本であり、
これらが問題なくできれば、自宅での自立した生活が可能となります。
大腿四頭筋は、30代で筋肉がピークとなりますが、80歳で筋肉量は50%に半減します。
そのため、運動を行って筋力が維持することは、高齢者にとってとても重要になるのです。
自立した生活を送ることができるよう、運動の習慣化が非常に大切です。
1.2. 墜落予防と関節保護
加齢とともに増える転倒のリスクですが、実は筋肉を鍛えることで大幅に軽減することができます。
筋肉が弱ると、バランスを取ることが難しくなり、つまずきやすくなるなど転倒の原因になります。
運動を行うことで、これらのリスクを下げることが可能です。
また、適切な体操は関節への負担を軽減し、痛みの発生を防ぐ効果も期待できます。
つまり、高齢者にとって、運動は日常の安全を確保し、痛みのない快適な生活を支援するために不可欠です。
1.3. 心身の健康増進効果
運動が高齢者の体だけでなく、心にも良い影響を与えるのは、少し意外かもしれません。
定期的な運動で汗をかくことは、ストレスの軽減につながり、抑うつ状態の改善を助けるとも言われています。
加えて、適度な運動は睡眠の質を高め、免疫力向上にも寄与します。
したがって、運動は、物理的な健康保持だけでなく、精神的な健康をも促進する重要な活動と言えるでしょう。
高齢者にとって、積極的に体操に取り組むことは、心身の健康をトータルで支えるための有効な手段です。
2. 簡単にできる全身運動「ラジオ体操」
ラジオ体操は上半身、下半身とまんべんなく使う体操です。
約3分程度ですが、呼吸の促進や肩こり腰痛の予防などさまざまな効果が期待されています。
2.1. 正しい行うポイント
①呼吸と共に動きます。
②音楽に合わせてリズムよく行います。
③動かしている部分を意識します。
テキストにポイントが書いてありますので参考にして下さい。
2.2. ラジオ体操の運動強度と消費カロリー
ラジオ体操第一は、ゆっくりと階段を昇ったり、自転車を乗るのと同程度の強度です。
ラジオ体操第二は、テニスの試合や水中歩行などと同程度の強度です。
ラジオ体操を5分行うと4秒で腰を下げて4秒で上げる8秒スクワット30回分に相当します。(約20kcal)
3. 日常生活で取り入れやすい「ながらトレーニング」
健康は日頃の積み重ねから形成されます。
忙しくても、日常生活の中でいかに運動を取り入れるかが鍵を握ります。
その中でも特に効果的なのが、家事や日常の動作を利用して「ながら」のトレーニングです。
無理なく続けられ、健康的な身体を目指しましょう。
3.1. 食事の準備動作で鍛える
キッチンに立つ時間は、意外と長いものです。
この作業の時間を利用して、筋力を高めるチャンスがあります。
例えば、野菜を切る際には、正しい姿勢を心がけることで、核となる体幹を鍛えることができます。
立ったまま行う下半身のスクワットや、つま先立ちでの伸びを交えると、下半身のトーニングに繋がります。
調理中に一つ一つの動作に意識を向けることで、日常の動作がエクササイズに変わります。
また、食材を持ち上げるときには、腕の筋トレになるように意識的に力を入れてみましょう。
これらの小さな積み重ねが、効果的な筋トレになります。
3.2. 掃除や洗濯での筋力アップ
普段の家事を筋トレに変えることで、時間を有効活用できます。
例えば、掃除機をかける時は、背筋を伸ばし腹筋に力を入れると、体幹の強化になります。
また、洗濯物を干す際には、物を上げる動作で肩周りの筋肉を、
下げる動作で大胸筋を意識的に使うと良いでしょう。
高い位置に洗濯物を干す時は、カーフレイズを取り入れ、ふくらはぎも鍛えましょう。
フローリングの拭き掃除をする時は、前後左右に広がる動作で下半身の筋肉を使い、全身運動にもなります。
家事を行うことで体力をつけ、家も綺麗になるので、一石二鳥の効果が期待できます。
3.3. テレビを観ながらできる体操
テレビを観ながらできる筋トレは、楽しみながら運動不足を解消する手段の一つです。
例えば、座った状態での腹筋運動や、ソファに座りながらのペダリング運動が効果的です。
コマーシャルの間に簡単なストレッチや筋トレを行うことで、無駄な時間を活用できます。
足を高く上げる行動を取り入れることで、太もも前面の筋肉を鍛えます。
ソファの背もたれに手を置き、腕立て伏せの動作をすることで、上半身の筋力アップにつながります。
リラックスしながらも身体を動かすことができるので、日常生活に無理なく運動習慣を取り入れることができます。
4.ウォーキングをトレーニングとして活用する
ウォーキングは有酸素運動で全身の80%の筋肉が使われています。
しかし、健康の維持として推奨されていますが、筋力トレーニングにはならないのです。
筋力アップとして活用するには次のポイントを意識しましょう。
4.1.筋力アップにするポイント
①インターバルウォーキングを行う。
大股で早く歩く、ゆっくり歩くを繰り返します。早歩きの合計が15分になれば良いです。
②坂道や階段のコースを選択する。
平坦な道ではなく、少し負荷のあるコースを入れることで筋力アップにつながります
4.2.セロトニンの増加で睡眠の質を上げる
セロトニンは、脳から分泌される睡眠ホルモンであるメラトニンの原料です。
そのため、体内時計や睡眠を調整する機能が備わっています。
セロトニンは、太陽を浴びてリズム運動をすることで分泌の量を増やすことができるのです。
そしてセロトニンは夜になると眠りに必要なメラトニンに変換されるので
セロトニンの分泌を促すウォーキングはとても良い運動なのです。
また、セロトニンは幸せホルモンと呼ばれる精神安定剤的な存在です。
不足すると感情のブレーキがきかなくなったり、平常心が保てなくなって鬱のリスクが高まると
言われています。
心の健康にウォーキングは役立ちます。
毎日の生活に密着した形で運動を楽しむことは、負担を感じずに続けていくことにつながります。